江戸時代中期の画家、円山応挙が足のない幽霊を描いてからは
幽霊には足がないというのが世の共通認識。
だけど私の見た幽霊は胸から下がありませんでした。
その夏、不思議な道の迷い方をした末に
田んぼのど真ん中で幽霊と出くわしました。
年の頃は昔の40代半ば、
肩のあたりに当て布をした絣のような着物を着た女性でした。
横顔だったので表情はわかりませんでしたが
悲しんでいるとか恨んでいるとか
そういった気配はなく
ただ歩いているところをたまたま見かけた
そんな印象でした。
もともとそういう経験が多少なりともあったのですが
その年はほかにも勘弁してほしい迷惑な経験をした私は
たまりかねて心霊の大御所にして友人のAさんと会うことに。
2人で向かったのはチェーン展開している近所の喫茶店。
席につき、水が運ばれた時に私は絶句しました。
2人しかいないテーブルに3つグラスが置かれたんです。
「気をひろったな」。
心霊師匠は涼しい顔でひと言そう発しました。
その時はわかったようなふりをしましたが
20年たった今も未だよくわかっていません。
連絡をとりたい相手に念を送ると
本当に電話がかかってくる。
あの遊びがいけなかったんだろうか。